使い方

「寒い日にはコルクを使って滑走面をよりツルツルな仕上げにする。暖かい日にはファイバーテックスパッドやブラシを使って余分な水が流れ通りやすくするためのストラクチャー溝を作る。」

テリー・ハーテル氏

Terry Hertel’s Pro Tips

全てのワックスを語る前提として、「雪」の上にいるというよりは、むしろ、スキー/スノーボードの滑走面と雪面間に生じる摩擦熱によって発生する、わずかな水分の上にいるということが実際です。ワックスとは、滑走する時に余分な水分を効果的に処理して「滑降」を生み出すモノであって、いつも気にする存在です。

しかしながら、極寒なコンディションではこの作用を得ることは難しくなります。足元の雪はそれほど融けないので、結果として滑走するには水分不足となります。摩擦熱で融雪しますが、次の瞬間には再凍結するということが私たちのスキー/スノーボードの下では起こっています。融雪率が低いということは、水による潤滑性が低くなるということとなり、結果として滑走時に雪の結晶が刺さることによって引っかかり感が生じることになるのです。

ファイバーテックスパッド(それに類似する製品)は、水分を掴み留め、低温の雪の時は普段以上に引っかかりを生み出す原因となる、滑走面にある無数にある極小の溝を作り出します。「温まった」雪を滑走する際、この極小の溝は水分を流し通すことで滑走面に留まらないように働くため、滑走スピードの向上につながります。しかしながら、「冷えた」の雪では、これらの溝は水分を掴み留め、そして再凍結します。これが引っかかり感を生み出す典型的な原因です。参考までに、強風で飛ばされた雪は、通常の雪よりも低温となります。気温がそれほど低くない条件でも、場合によってはこれが引っかかり感の原因ともなります。

通常この「引っかかり感」は低速滑走時、特に停止している時に起こりやすい現象です。リフトから降りる時、仲間を待っている時、またはリフト待ちの列にいる時などは典型的な要因となりえます。一般的には、滑走スピードが早いほど摩擦力が大きくなるため、融雪量が増えることでより速く滑ることができます。ですが、低速での滑走時、さらに低温状態も重なると、この融雪による方程式が崩れます。

対処法として、滑走面が鏡のようにテカリが出るほどコルクで力強く擦り付けてください。RACING 739のような硬めのワックスを使用することも対処法の一つです。

要約すると、寒い日にはコルクを使って滑走面をよりツルツルな仕上げにする。暖かい日にはファイバーテックスパッドやブラシを使って余分な水が流れ通りやすくするためのストラクチャー溝を作る。

どちらのワックスを使うか?

気温の上昇に伴い湿気が高くなると予想される時は、SUPER HOTSAUCEのワクシング、スクレーピングの後に、緑色のファイバーテックスパッド、もしくはブラシで仕上げをします。

気温の低下や、風の影響を受けた雪、ドライスノーが予想される時は、RACING 739をワクシング、スクレーピングし、コルクで仕上げます。深くしっかりとしたストラクチャーは水分を掴み留めやすいため、そのような加工を施した滑走面の場合は、RACING 739を生塗りで擦り付けるのも良いでしょう。ワックスが厚く塗られていれば深い溝を埋めやすくなり、より滑りやすい滑走面となります。

変化が激しく、予想しにくいコンディションの場合 RACING 739をホットワクシングし、それからSUPER HOTSAUCEを生塗りで擦り付け、コルクでピカピカに仕上げます。これで大抵の場合は大丈夫です。暖かい日ならば、この表面のSUPER HOTSAUCEの層で大丈夫でしょう。寒い日ならば、この表面のSUPER HOTSAUCEの層は早い段階でなくなり、そして下地に塗られたRACING 739の滑走効果が発揮されるようになります。どちらの状況でも、もうひと手間を加えることでより良い滑走性を期待できるようになります。

春の場合 SPRINGSOLUTIONを使用して、よくブラッシングをします。春のコンディションでは、滑走面のストラクチャー状態はとても重要になります。良好なストラクチャーは、湿雪で起こりやすい水分の張り付きを避けるために、滑走面から水分を効率的に流し出すからです。ストラクチャーの溝を空に保つために、真鍮のブラシで仕上げることが理想的です。

テリー・ハーテル氏

ハーテルワックス設立者、オーナー、開発者

ワックスの塗り方

ホットワクシングの場合

  1. 滑走面の汚れを取り除く。
  2. ワックスアイロンを90℃に設定する。ワックスペーパーを使用する場合は10℃ほど高めにする。
  3. ワックスを溶かし、スキー・スノーボードの滑走面全体にくまなく伸ばす。作業中はアイロンを一箇所に止めないこと。
  4. 塗り込んだワックスが暖かいうちにスクレーパーで削る。ワックスを室温まで冷ましてからスクレーピングするのも良いですが、まだ暖かいうちにスクレーピングした方が腕への負担は少ないでしょう。
  5. ファイバーテックスで仕上げる。
  6. 何度も色違いのワックスを塗り込んだり削ったりする必要がないので、節約できた時間をゆったりと楽しみましょう。

生塗りの場合*

  1. ワックスを直接擦り付ける。
  2. コルクで押しつけるようにしっかりと擦る。

ホットワキシングの方が効果が長続きします

注意

このワックスはスキー・スノーボード専用です。ワクシング作業は換気の良い場所で行なってください。アイロンの温度はワックスを溶かす際、煙が出ないように調節してください。子供やペットの手が届かない場所に保管してください。食べ物ではありません。誤って目に入った場合は、直ちに水でしっかりと洗い流してください。異変を感じる場合は医師に相談してください。

選び方

私たちのワックスは全商品が全雪温対応なので、SUPER HOTSAUCERACING 739で、 どちらを選ぶかはとても簡単です。いつものような滑りであれば、SUPER HOTSAUCE をお勧めします。生分解性の成分、良質な滑走性、塗り込みやすさなどで、スキー・ スノーボードの操作性を高めてくれます。

RACING 739はさらに滑走性が高いのですが、高価です。その対価はとして、最長7日間持続するので、一度塗り込んでしまえばコストパフォーマンスとしてはSUPER HOTSAUCEと大差はありません。(何より早く滑れることができます!)

ご友人が他社製品をご使用の場合、まずはSUPER HOTSAUCEをお勧めします。ハーテルのSUPER HOTSAUCEをご使用の場合、RACING 739をお試しください。

春シーズンの暖かい気候や難しいコンディションの場合は、SPRINGSOLUTIONをお選びください。

 

詳しくはテリー・ハーテルのアドバイスを読んでみてください。